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岩泉町物産振攻会視察研修~第3幕「東北の文明開化は小坂町から始まったのだ」

秋田県小坂町は藩政時代には南部盛岡藩に属し、19世紀初頭に小坂鉱山が発見されると、金・銀・銅・亜鉛などの採掘で栄え、明治時代には多数の近代建築が立てられ大いににぎわった町です。

「レストラン青銅館」にて、鉱山をイメージした「黒鉱カレー」を食べた後、「小坂鉱山事務所」で小坂鉱山の歴史を学びました。
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明治38年に建てられた鉱山事務所は、明治初期から大正期にかけて鉱産額日本一を誇った小坂鉱山のシンボルです。
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らせん階段を上がると鉱山の歴史が最新設備で紹介されています。なんと小坂町は東北で最も早く電気が通ったそうです。とてもきれいな建物ですが、窓やガラスは昔のままで、かすかに歪んでいます。

続いて、念願の「康楽館(こうらくかん)」に向かいます。
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国の重要文化財である康楽館では、現在でも4月から11月まで歌舞伎やお芝居が行われ、人間国宝の歌舞伎役者もほとんどの方が舞台に立っているそうです。

係員の方が館内をご案内してくれました。
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一番後ろの席は常連さんの特等席だそうで、後ろから大きな声をかけることによって館内が大いに盛り上がるのだそうです。畳敷きの座敷には傾斜がついていて、後ろの席でも舞台が見やすく工夫されています。
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続いて舞台上映中は見られない内部を見せていただきました。
花道へ出る控室、「切穴(すっぽん)」と呼ばれる人力のエレベーター、さらには回り舞台の地下にある「奈落(ならく)」に潜入し、4人がかりで舞台を回させていただきました。
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最後に舞台に上がり、楽屋に入ると、有名な役者さんのサインがところ狭しと書かれていました。これはまだ色紙などなかった時代に、役者さんが康楽館に来た記念に書いていったことに由来するそうです。
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「康楽館」は明治34年に建設され、鉱山の繁栄とともに歌舞伎や新劇、映画など様々な催しが行われましたが、カラーテレビが普及するようになると来館者は激減し、昭和45年に興業は中止されました。

その後、老朽化を理由に、消防訓練のため火をつけて燃やす計画まで出たそうですが、地域の人たちの情熱により昭和61年に見事よみがえり、現在では日本最古の芝居小屋として全国からお客様を集めています。

その背景には、議会での猛反発にもひるまず、「失敗したら田畑を売って責任を持つ」とまで言い張った、時の町長がいたそうです。

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岩泉町物産振攻会の視察研修は、1泊2日の慌ただし日程でしたが、とても有意義なものでした。八戸市・黒石市・小坂町とも地域の良さを生かした素晴らしい取り組みをしていましたが、改めて我が岩泉町を見ると、これらの町に劣らない素材がたくさんあり、魅力的な人たちがいることに気付きます。そられをどのように組み合わせ、いかに伝えていくかということに、地域づくりの大きな課題があるのではないかと感じました。

日本には各地に様々な暮らしがあり、よその地域を知ることで、私たちが暮らす岩泉町の特色が浮かび上がってきます。平成23年度も本日で終わりますが、新年度も岩泉町の魅力や、美味しい特産品をブログ上で紹介していきますので、これからも時々「今日の田舎」へ遊びに来ていただけたら嬉しく思います。

では、一年間ありがとうございました。
by kyounoinaka | 2012-03-31 00:00 | 岩泉町物産振攻会