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岩泉町8月30日~31日の状況記録。豪雨災害からの再出発。

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本日、ようやく岩泉町の山間部の孤立状態が解消されたとのニュースがありました。まだまだ山間部の道路は仮復旧のような状態で、本格復旧には時間がかかります。とはいえ道路が通じる事で電気などの復旧なども進むことになりますし、滞っていた牛の飼料輸送なども動き出しますし、少し安心です。まだまだ災害は続いている。そんな状態ではあるものの、物事は徐々に、動いています。片付け作業も時間がかかりますが、この週末は多くのボランティアの皆さんのご協力を頂き、作業が進んだ場所も多かったことと思います。

さて、あっという間の3週間でした。まさか内陸で甚大な津波被害があるとは思っても居ませんでした。
道路が復旧するにつれて、新たな被害の状況も目に入り、被害が広範囲にわたっていることから、正直心が折れそうになるような景色を沢山目にしました。ただ、そんななかでも短角牛が何とか無事だったり、湧き水が様変わりしつつも水はこんこんと湧いていたり、神社は無事だったり、復活に向けてのタネはたくさんあると実感しています。
今後とも、持続的に復活に向けて進んでいきます。大事なことは、心が折れないように。今後とも、どうぞよろしくお願いします。

今日は、緊迫していた災害当日と翌日の模様を振り返っておきたいと思います。
書こうかどうか、正直迷ったものの、記憶が薄れないうちに書くことが大事だと思いました。



8月30日~8月31日の状況
(あくまで、私が見聞きした状況の振り返りです。)

8月30日 12:30
この時点では乙茂地区は、雨風は弱かったです。予報を見た感じでは朝から本格的な雨だと思っていたので、意外とそれほどでもないな、とこの時点では思ってました。ただ、雨雲レーダーを見ると、上流部では雨が降り続いているようでした。
小本川は、前日からの雨でそれなりに増水していました。
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15時前後になると乙茂でも荒れ模様となってきました。

17時ごろ
小本川からあふれた水でふれあいらんど岩泉パークゴルフ場・陸上競技場は浸水しました。
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17:50
道の駅いわいずみ横の沢も小本川に流れ込めず溢れそうになっていました。
二升石付近で土砂崩れのため、小川・大川地区の一部の職員は、帰宅を見合わせ会社に留まっていました。
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家族のことを考えるとそろそろ帰らなくてはまずいと思い、暴風雨のなか、帰る事にしました。
ところが、雨なのか沢水なのか各地で道路が冠水し、さらには乙茂の一部で国道と小本川の高さが非常に近くなっており、怖くなりました。
しかし国道にはまだ帰路を急ぐ車がけっこう走っており、急いで何とか家までたどり着きました。
その後は、親戚宅に電話し無事を確認した後は、
暴風で家が大丈夫か…と心配し、

19時ごろには暴風雨も落ち着いたので、
停電(我が家は18時半過ぎごろから)はいつ回復するのか…そんなことに気を取られていました。
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19時半。星空も見え、風もほぼ止んでいました。
停電断水で風呂が入れません。まだこの時点では一部の店や家は電気が付いているのが見えました。温泉ホテルかホテル愛山はもしかしてお風呂が入れるのでは?と思い、出かけたところ、停電でしたし、それどころか清水川沿いの道路が水没したりもしており、引き返しました。

21時。停電が長引くので、私の職場であるミート工房いわいずみの冷蔵冷凍庫の肉が心配になってきました。保冷用トラックに肉を移した方が良いのか?いや、会社に行くにも道路は大丈夫なのか?
会社に留まっているであろう先輩方に電話をしたところ、「もうそんな状況ではない。1メートル以上、浸水して、道の駅2階に避難中。」とのことでした。避難したのは、18時20分ごろだったとのこと。想像を越えるような災害が起きていることをこの時点ではっきり自覚しました。

中島地区の親戚宅でも、水が20時ごろに突然押し寄せてきたので2階に避難。とのこと。中島・小本方面ではひどい暴風雨はほとんど降らなかったとのこと。

22時。中島地区の親戚宅に電話をかけたところ、
「水が、2階まで階段あと3段位のところまで上がってきている。」と言われました。
「押入れなど出来るだけ高いところで、何とか持ちこたえてください。」と言うのが精いっぱいでした。
このときが、水のピークだった模様です。後日痕跡から推定される水位は3メートル弱。

夜どおし、清水川を大きな岩がゴロゴロ転がっているような音が響いていました。


8月31日早朝。親戚宅は大丈夫か。連絡はつきません。ヘリが飛び交っていました。
家族のDocomo携帯は非常用電源がしっかりしているのか、電源補給も来ているのか?通じましたが、私のYモバイル携帯は8月30日の20時前後から1日半以上、通じませんでした。情報収集に支障。

7時過ぎ。
親戚と会社の状況を確かめるため、小本方面に車を走らせると、国道455号は下岩泉で通行止めでした。
ならば、グリーンロード夏節トンネルから島越方面に抜けようかと思いましたが、龍泉洞付近で道路は大量の石ころ。危険と判断し引き返しました。

一旦家に帰りラジオを付けるもほとんど情報は分かりません。道路の状況はインターネットにも反映されておらず、ほぼ岩泉は陸の孤島と化していました。ただ、FM岩手から岩泉支局の現地情報が聞こえてきたのは印象に残っています。
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8時過ぎ。出直して、今度は沢中方面に向かってみましたが、やはり大量の石ころ。引き返してくる車もあり、断念。この時点でもう一度グリーンロード方面に向かったところ、ちょうど重機が入り最低限通れるようになっていました。多数の石ころや冠水か所を避けながら、車で道の駅田野畑に到達し、さらに小本に入りました。
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しかし、この時点でまだ中島は水が引いておらず、親戚宅方面に渡る橋も増水で危険な状況の模様で入ることができませんでした。ただ、小本支所で、無事の模様との情報は得ました。

10時。では会社は。と思い、国道45号・大芦・県道44号経由で三田市に出たときの変わり果てた小本川の光景は忘れられません。道の駅いわいずみに向かう道路は、泥にまみれていました。さらに、その先は、流木だらけでした。いずれも、まず片側車線から撤去作業が行われていました。
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会社は、壊滅的状況とも言えるほどに流木が押し寄せ内部はめちゃくちゃな状況でした。私の職場であるミート工房も予想以上に浸水しており、流木で建物が破壊されて大量の泥が流入していました。確かに肉を保冷トラックに積んで救出するような状況ではなく、冷蔵冷凍庫の肉も全て泥に浸かりました。
何か、今のうちに対処すれば被害を最小限に出来るか、と思って来ましたが、被害は予想をはるかに超えていました。
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すぐに片付けという状況でもなく、状況を若干記録したのち、道の駅2階に避難していた先輩がた3名(いずれも、車が被災)のうち2名を、町内へ送って行きました。
その車中で、ラジオを聞きながら、岩泉町で亡くなった方が居ることを知りました。

14時。中島方面へ向けて出直しました。15時、中島に到着。まだ、車では通行禁止でしたが、歩いて入る事は許されました。
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泥の海の状態となってしまった田んぼに言葉がありません。
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私が種まきした黒豆も、すべて泥の海に跡形もなくなりました。親戚宅に入るのも、泥の海で大変でした。まず、人は元気でした。
早々と家の人たちは畳を出し、泥のかき出しを開始していました…その後、私も、微力ながら、泥出しのお手伝いをさせて頂きました。泥出し片付けは非常に時間がかかることがよく分かりました。同時に、様々な方が手伝って下さり、岩泉の底力をも感じました。


さて、この週末は多くのボランティアの方に岩泉町に来て頂き、本当に感謝申し上げます。町内各地、状況が異なります。まだまだ支援を必要とする家がありますので、今後とも協力をよろしくお願いします。

◎岩泉町災害ボランティアセンターの最新情報はこちら

何はともあれ、あの3週間前と比べると、大きく状況は改善しました。
まだまだ、避難生活を送っている方も多く、生活再建は大きな課題です。
そして同時に、産業の復活も、徐々に動き出しています。



弊社事業の今後について
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短角牛について。10月中旬ごろまでには、別の会社様に協力を頂きながら、業務用の短角牛肉の出荷を再開する計画です。
短角牛の状況はこちら(Facebookページ)

龍泉洞の水について。取水施設が被害を受けていますが、工場は無事。復旧に向けて動いています。

道の駅について。「道の駅三田貝分校」は短縮営業中です。「道の駅いわいずみ」は弊社被災施設のなかでも、優先的に片づけを進め、復活に向けて動いています。
道の駅いわいずみからのメッセージはこちら(Facebookページ)


お客様へ、いつも岩泉をご愛顧いただきありがとうございます。
お取引先業者様には、現在、順次連絡をとっています。
ただし、まだ十分に問い合わせに対応するような事務所の体制が整っていません。発送のための伝票発行の体制も、まだ現在準備中です。パソコンのデータが現時点では、復旧できず、過去のデータが乏しいなか、事務作業を進めています。
そのような状況から、個人のお客様にはもうしばらくお待ちいただきたく、よろしくお願いします。

ゆっくりではありますが、着実に動きはあります!!
今後ともよろしくお願いします。

by kyounoinaka | 2016-09-20 00:29 | ○復興に向けて