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おじぃさんの思い出

初めておじぃさんに会ったのは、もう12年も前のこと。
岩泉町の中心から車で40分以上走った山奥の、雑穀畑を訪ねたことがきっかけです。
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都会から何も知らずにやってきた私には、霧に包まれた畑でゆらりゆらりと揺れるアワの穂が不思議で、
「おじぃさん、これは何ですか?」と尋ねたことを覚えています。

翌年の初夏、再びおじぃさんの畑を訪れ、「2年3毛作」と呼ばれる伝統的な農法を見せていただきました。
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秋、ヒエやアワなどの雑穀を刈り取った後、麦の種を播きます。春になって、伸びた麦の間に豆を播くと、鳥の害を防ぐことができます。そして、7月に麦を刈り取ると、入れ替わって豆が伸びてきます。

秋の刈り入れが終わり、本格的な冬が来る前に、「マドイリ」や木槌を使って、おばぁさんと豆の脱粒や雑穀類の脱穀をします。
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おじぃさんが使うのは、手作りの道具ばかりです。農作業のできない雨の日に、「マドイリ」や「かんじき」、あるいはオノやナタの「柄」をコツコツと作るのです。
そして、農作業で使った道具は、きちんと手入れをして、決まった場所に収納します。

ある春の日、首都圏でのイベントに参加するため、使い込んだおじぃさんの「マドイリ」を借りに行きました。おじぃさんの「マドイリ」を、岩泉の雑穀を食べて下さる都会の消費者に見てもらいたかったのです。
「貸すのはいいがぁ、こんなもの持っていって役に立つんだべぇか?」
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それが、おじぃさんとの最期の会話になりました。

おばぁさんからいただいたこの「マドイリ」は、私の宝物の一つです。
by kyounoinaka | 2011-08-16 18:20 | 岩泉まめつぶ農園