「人と人をつなぐ料理」~アルケッチャーノ奥田政行シェフ
2012年 01月 18日
奥田シェフは焼き畑農法で作られる「藤沢カブ」や「宝谷カブ」、「民田ナス」などの在来種(伝統野菜)を使った独創的なイタリアンで知られ、今や「アルケッチャーノ」は日本で最も予約が難しいレストランの一つと言われています。
先祖代々伝えられてきた在来種は、苦みやえぐみの強いものが多く、形質も不安定で市場流通に不向きなため、日本中の畑から消えつつあります。奥田シェフは、庄内の生産者を訪ねては、その土地の風土や暮らしを学び、個性的な在来種の特徴を生かした料理を次々と生み出しています。
その活動の根底にあるのは、料理人として、「食で地域を元気にしたい」との強い思いであることが、この本を読んでわかりました。「アルケッチャーノ」という、一見イタリア語のような店名は、「ここにあったんだねぇ」という意味の庄内弁からきているそうです。
(参考)
「人と人をつなぐ料理 食で地方はよみがえる」奥田政行著 新潮社1,400円(税別)
「スローな未来へ 小さな町づくりが暮らしを変える」島村菜津著 小学館1.600円(税別)
2月21日、この奥田政行シェフを岩泉町にお迎えし、「地域食材の活用と食を生かした町づくり(仮題)」勉強会を開催したく、準備を進めています。生産者と消費者、料理人と生産者、都市と地方、人と人をつなぐ真ん中に美味しい料理や食材があるということをしっかり学んで、三陸の復興や岩泉町の農業振興につなげていけたらいいですね。
今日は宮古農業改良普及センターの方がみえ、「安家地大根」や「地ウリ」などの岩泉在来種の振興策を話し合いました。地域の風土が生み出した在来種は、生きた文化財ですから、大切に未来へ引きついで行かなくてはなりません。
▼安家地大根の凍み大根。繊維質が多いのでしっかりしています。
▼みずみずしい地ウリ。暑い夏の喜び。