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「いわて食材王国フォーラム」~岩手、そして東北から「食」による復興を~其の二

其の一からつづく

さて、次はパネルディスカッションです。
テーマは、「岩手を食で復興するためにどうつながるか!」で、司会進行は山本謙治さんです。パネラーには錚々たる顔ぶれがそろいました。ディスカッションの目的は、人と人をつなげるネットワーク作りで、パネラーの活動からヒントを頂きます。
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以下、長くなりますがぜひ最後まで読んでください。


◎奥田政行シェフ(山形県「アル・ケッチァーノ」)
…東京から山形に帰りお店を始めたころ、山形県は無登録農薬問題で大変な状況にありましたが、埋もれた食材がたくさんあることに気づき、「食の都づくり」を通して困難を克服しました。当時はよく岩手県にスパイに来ていました。岩手県三陸沿岸には430種もの魚がいて、畜産もあり、日本でも数少ない「食の都」になりうる地域。信頼回復の戦略として、ゲリラ作戦で敵地適作マップを作ることも一つの方法です。
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◎熊谷喜八シェフ(東京都「KIHACHI」)
…先祖は大東町出身。日本各地を歩き、後を継ぎたくなる農業の手伝いをしている。応援団長のつもりだ。三陸には素晴らしい水産物が多いが、ブランド戦略を立て、いかにPRするか。農業においてもJAに納めて終わりではなく、計画的な生産・加工で付加価値を高め、「地域で売れればいい」ではなく、全国・全世界へ売り出すくらいの気持ちが必要。

◎伊藤勝康シェフ(奥州市「ロレオール」)
…震災後、ロレオールは被災地炊き出しの基地となり、料理人として40回以上沿岸被災地へ炊き出しを行い、美味しいものを食べていただいた。また、ロレオールには様々な食材や料理人が集まる場となったので、岩手の食材を全国の料理人に知ってもらい、食べてもらうことができた。岩手には素晴らしい素材がたくさんあるが、それを紹介する人やルールを作り、地域食材の活用と商品化につなげていきたい。

◎佐々木淳さん(大船渡市・ホタテ養殖業)
…独自のブランド戦略を立て、「岩手産ホタテ」ではなく「恋し浜ほたて」ブランドを確立したが、震災によってすべてを失ってしまった。しかし、震災の2日後には漁業の復興を決め、10月にはがれき撤去が完了、12月中旬から新たなホタテ養殖をスタートさせた。いつまでも沈んではいられないので、復興をPRし、支えてくれた皆さんへお礼がしたい。
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◎芳賀カンナさん(大槌町「マリンマザーズ吉里吉里」)
…海産物の加工品を作っていたが、加工場のみならず、6人のメンバーのうち3人が自宅を失ってしまった。震災後は何もない荒野となってしまったが、地域の人が足を止める「場」を作るため、8月19日に仮設店舗で再開した。加工だけでなく飲食もできるようにし、一緒に泣ける場所、一緒に笑える場所を作ることができた。伊藤シェフの指導により、地元の食材を使ったメニュー作りをすることができた。

◎岡部泉さん(東京都「ソウルオブ東北」代表)
…「ソウルオブ東北」は被災地支援を行う料理人たちのグループで、昨日は熊谷シェフ、伊藤シェフ、奥田シェフらに来ていただき宮古市田老町で活動を行った。また、キッチンカーを提供し、気仙沼では仮設住宅を回る取り組みも行っている。東京では、まだまだ東北が遠く、東北の食材が知られていない。岩手には様々な物語と食材があるので、イメージを確立して復興に取り組めるはず。


さぁいよいよ交流会です。交流会は木村秋則さん”奇跡のリンゴ”冷製スープの乾杯で始まりました。
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厳選食材の素晴らしい料理ばかりですが、岩泉にちなんだものを紹介します。

▼いわて短角和牛リブロース肉の岩塩包み焼き 岩泉ワサビソース
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▼岩泉早野商店ほおずきジャムのタルト
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この会場でもひときわ美味しいメニューで、岩泉町民としてとても誇らしい気分でした。

この後、東北地区でただ二人「料理マスターズ」を受賞している奥田シェフ(22年度)・伊藤シェフ(23年度)の記念セレモニーがありましたが、感動的で、表現しようがありません。ほんのわずかでも、このような素晴らしいシェフとかかわれたことに喜びを感じますし、それだけの食材が岩泉にあるということに、改めて気づきました。
(奥田シェフ・伊藤シェフとも普段食材を仕入れている生産者を招待し、壇上でご紹介したいたことがとても印象に残りました。)

最後にシェフが集まり記念撮影です。当社の野中シェフも、緊張気味に写っていますよ。
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★★★

21日「食からはじまる~」勉強会、22日「いわて食材王国」フォーラム、どちらも長編レポートとなりましたが、忘れないうちに掲載しました。
「生産現場に目を向けること」、「食にまつわる物語を伝えること」、「人と人をつなぐネットワークを作ること」その大切さを実感した2日間でした。

岩泉町の山の中の小さな食材、ささやかな料理が、実は世界とつながるツールであり、食は幸せの第一歩です。これからも、岩泉の「豆粒のような小さな畑」と「家族の食卓・地域食」を伝えていきますので、時間のあるときには「今日の田舎」へ来てください。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
by kyounoinaka | 2012-02-24 09:29 | 復興に向けて