栃木県那須町「日本畜産の原風景を求める視察団」来町
2012年 08月 30日
最初に訪れたのは岩泉町安家地区、江戸時代から牛の放牧を行い、現在は全国のサポーターに支えられ短角牛の林間放牧を行っている安家森(カヌカ平)です。

今日では生産効率の良い牧草を植えた放牧地が主流ですが、この放牧地は天然の野芝で覆われ、13haの広さに8頭の短角牛が放たれています。短角牛を放つことによって、ササや灌木の浸食を防ぎ、美しい景観が保たれているのです。
牛たちは自由に牧野を駆け回りますが、今日のような暑い日は木陰で涼んでいます。

次に訪れたのは、田野畑山地酪農牛乳で知られる「くがねの牧」と「志ろがねの牧」です。ここでは日本の山林を生かした究極の畜産・山地酪農を実践しています。山林を切り開き、野芝を移植しながら30年以上の月日をかけて作り上げた美しい牧場です。

日本を代表するリゾート地・那須地方ですら、これほど美しい牧場はないそうです。安家森の短角牛と同じく、木陰でのんびりと草を食んでいますが、よく見るとホルスタイン柄の馬がいます。心安らぐ光景ですね。

▼山地酪農の実践者・ムネノリさんと「日本畜産の原風景を求める視察団」の皆さん。

「視察団」の皆さんも、実はただならぬ畜産の実践者です。
さらに一行は短角牛を求めて、岩泉町釜津田地区に飛び、櫃取湿原で知られる片巣牧野へ向かいました。べこ守り(放牧監視人)さんのお話を伺った後、短角牛を探しまわると、沢沿いのササ原の中で動く短角牛を見つけました。

牛たちは牧草のみならず、ササやブナの葉、時には体調に応じて野草を選んで食べる能力があります。
岩泉町・田野畑村には、日本畜産の原風景が今も残り、そしてそれが未来につながる持続可能な畜産であることを、視察団の皆さまが教えてくれました。