山田町に養蠣業者(=カキの養殖業者)を訪ねる
2012年 12月 15日
当社でも通販頒布会の定番商品として、殻つき牡蠣はとても人気があり、新鮮な牡蠣を仕入れて発送する作業は大きな喜びでした。しかし、昨年の大震災で壊滅的な被害を受け、現在牡蠣のお取扱いができない状況です。
震災前に頒布会の牡蠣を分けていただいていたトシさんを訪ねました。

山田町の漁師の家に生まれたトシさんは高校卒業と同時に漁の世界に入り、おじいさんの代から続く牡蠣の養殖のみならず、トシさんの代からホタテの養殖にも取り組んでいます。

震災後に再開した牡蠣の収穫はもう一年先で、今は北海道から種を導入し、山田の海で育てたホタテを収穫していました。待っているだけではお客さんは来てくれないので、週末にはホタテを積んで盛岡に走り、直接対面販売しているそうです。
「海の力はすごいなぁ、美味しそうだなぁ。」と見とれていましたが、隣ではトシさんの奥様が休むことなく手を動かしています。実は、水揚げしたばかりのホタテには、海藻や貝、時にはカニやナマコなど様々な海の生き物がくっついていて、そのままでは出荷できないのだそうです。

これまで畑に行ったり、牧場に行ったり、食べ物の背景を見てきたつもりでいましたが、海のことを少しも知らなかったことに、なんだか申し訳なく感じました。

こうして作業場を見学し、海の話をしている間も、全く手を休めることはありません。
作業に使う道具も、トシさんの工夫が施されています。

トシさん夫婦は震災後のがれきの中で、いち早く漁業再開に向け動き出し、この作業小屋もほぼ自力で建てました。
国からの支援は、個人経営の漁師さんにはほとんど届かいないそうですが、支援を待っていては、いつまでも復興できないとのお話が印象に残りました。

今すぐ私たちにできることは、三陸の魚介類を、適正な値段で買って食べること。
その「適正な値段」を知るために、もっともっと漁業の現場に目を向けることが大切だと感じました。
トシさんの美味しい牡蠣が食べられる日を、首を長くして待っていて下さいね。