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雪の日のサイクリング(2)

雪の日のサイクリング(1)

川沿いの道にはまだ若い並木があって、膨らみ始めた蕾にも冷たい雪が降っています。

「雪はやみそうにないな。普通こんな日にサイクリングはしないよなぁ。」と思いつつ、車のめったに通らない田舎道を、彼女と並んで走りました。この先に廃校となった分校があり、今は顔中髭だらけのおじさんが家具工房にしています。
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手袋をしていても手はかじかみ、雪を受けて顔が凍りついた頃、ようやく赤い屋根の分校に辿り着きました。しかし、周囲には車も足跡もなく、おじさんがいないことはすぐにわかりました。薪ストーブにあたりながら、家具作りの話を聞くという今日の計画は白紙になりました。

「さぶい?」
「だいじょうぶ。」
「…」
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キャンプ用のストーブをつけ、お湯を沸かしてコーヒーを飲んでも、芯まで冷えた体は温まりません。彼は彼女に申し訳なく、どうしていいのかわからなくなって、校庭の鉄棒に足をかけぶら下がりました。

しかし逆さまになった世界にも、雪は降り続けていました。
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by kyounoinaka | 2013-03-24 09:17 | 取るに足らない話