短角牛放牧の原風景 櫃取湿原 初夏の輝き
2013年 06月 20日
谷あいに短角牛と山の共生によって生まれた野芝草原が広がり、
湿地を牛が蹄で耕すことでうまれた湿原に、春には水芭蕉が咲きます。
まさに牛と、その牛を飼う人の生業が生み出した風景です。
いわば、短角牛放牧の原風景が今に伝わる場所とも言えるでしょう。
ちなみに、この櫃取湿原には宮古市川井の短角牛が伝統的に放牧されてきました。
道ばたには今、キャベツのような植物がモリモリ大きく育ってます。
これは成長した水芭蕉。人が食べると有毒なので、あらおいしそうなキャベツ♪なんて収穫して食べたりしないで下さい。
ちなみに、春に目覚めた熊はこれを食べて体内の毒を排泄するなんて話もあります。
県道脇の湿原入り口から、湿原までの間には北上山系開発で作られた牧草地が広がっています。
牧草地は春、早めに芽吹きを迎え、秋は遅くまで草が残りますから、長い期間、牛を放牧できるありがたい存在です。
牧草地を過ぎて湿原に降り立つと、ノロメキ沢の水辺がきらきら光っています。
この水辺にとても癒されます。
水辺にはクリンソウが鮮やかな花をみせてくれます。
野芝草原へ到達。
熊との遭遇には十分お気をつけくださいね。
そして、櫃取湿原の自然が素晴らしいと思ったあなた!
岩手の短角牛を、美味しく食べることで、
この湿原の美しい風景が、未来につながる可能性が少し上がります。
(もちろん、岩手の短角牛のうち、この湿原で生活するものは全体のうちわずかではあります。)
現在、櫃取湿原に放牧される短角牛は30頭。
湿原の風景を安定的に維持できる頭数は、80頭だそうです。
短角牛、その赤身肉は旨味成分を多く含むのみならず、
牛として生きた証として美しい牧野を形成し、人々を感動させる、
そんな背景を持った牛肉だと思います。
いま、この風景を見れる、そのことに本当に感謝です。
きっしー