伝統作物は美しい!「岩手の在来作物を巡る」報告
2013年 09月 02日
今朝は真夏の暑さかと思いましたが、山の畑に行くと「やませ」が入り込んでおり、一転肌寒い空気。でも伝統作物が実る畑の風景は、本当に素晴らしかった。
「在来作物」とは、その土地の気候や土壌に適応し、長い間地域の中で受け継がれてきた作物。現在主流のF1(一代交配)種とは異なり、毎年毎年自家採種によって伝えられています。生育や形質に多少のばらつきがあるものの、その作物が本来持つ力強い味が魅力です。
▼「あわ」。雑穀はお米のように品種改良がされておらず、多種多様な在来種があります。
F1種は農薬や化学肥料の使用を前提に、いかに効率よく生産するかを追求して品種改良されています。(もちろん味も重視しています。)これに対して、在来種は、農薬も化学肥料もない時代から、逞しく育てられてきました。
▼「安家地大根」。早く芽を出すやつも、忘れた頃に芽を出すやつも。
悪く言えば、生育中は気まぐれで、食べるには個性が強く、どんな料理にでもあうわけではない。でも、この地大根、この地ウリでなければ出せない「故郷の味」があります。
▼「南部の地ウリ」。太さは普通のキュウリの3本分。
ツアーに参加した「種の守り人」が、畑の向かいの山を見て教えてくれました。
「クリ」、「キリ」、「ウルシ」、「クワ」、ここには昔の暮らしに必要なものがみんな揃っていると。
▼「てんこ小豆(ささぎ)」。秋田の伝統作物ですが、10年ほど前に岩泉にやってきました。
秋田では赤飯用に欠かせない豆ですが、今日ではタイやベトナム産がほとんどだそうです。漢字では「天向小豆」と書いたりする縁起物。
▼「すたれ小豆」。黒すたれ、赤すたれ、白すたれがあるそうですが、こちらは「赤すたれ」。
餡をとるにはこの「すたれ小豆」が向いているとのこと。
2つの農家の畑を見せていただきましたが、どちらも様々な野菜・果樹・豆や雑穀類が育っています。少量多品目は、ここで自給していくための暮らしの技術で、輪作によって土壌のバランスを保っています。
在来作物は、岩泉町においても、少しずつ消滅の時が迫っています。在来作物を失うことは、「故郷の味」を失うこと、そして「地域のアイデンティティ」を失うこと。
畑を巡った後は、美味しい料理を食べ、午後から「地ウリ」の種採り講習へと続きますが、本日はここで終わります。
【追伸】
スローフード岩手会員で、医師・野菜ソムリエのメグミさんが素晴らしいレポートをまとめてくれました。「今日の田舎」とは情報発信力が違います!
伝統野菜を語る 野菜ソムリエの会「岩手県岩泉町安家地区の在来作物を巡る」