「アシオグスト2013IN韓国」報告1~“スローフード、味で変える世界”開幕
2013年 10月 06日

天空に伸びるタカキビ(コウリャン)、長い穂を垂らしたアワ、花盛りのソバ、そして棚にはカボチャや岩泉のものと全く同じ「地ウリ」が実っていました。飛行機に乗ってたどり着いたのは、まるで大川の雑穀畑のようです。

今大会のテーマは「スローフード、味で変える世界」。
アジア・オセアニア地域の43ヶ国が参加し、さらに韓国国内の農業者、食品加工業者、飲食業者、さらには学生も参加して、まさに「スローフードの祭典」にふさわしい熱気に包まれました。
午後4時、体育館には招待を受けた各国の参加者が集まり、さらに2階・3階の観客席にも地元の方々が席を埋めています。軽快な太鼓の音が鳴り響き、民族衣装を纏った各国代表が国旗を掲げて壇上に並び、開会式の始まりです。

入場はアルファベット順でAから始まりましたが、JAPANは最後から2番目になってようやく紹介されました。一番最後に入場したのがKOREAでしたので、おそらくアジアのスローフードを牽引する日本への特別な配慮なのでしょう。

残念なことに、スローフードの創設者カルロ・ペトリーニ会長は健康上の理由から韓国に来られませんでした。しかし、来賓の方々、あるいはアジア代表の方々の素晴らしいスピーチがありました。
この中で、2年前にもアジアで初めて「世界有機農業生産者会議」を開催し、市をあげてスローフード教育に取り組んでいる南楊州市長のお話が印象的でした。
「『歴史を見ない人に、将来を見ることはできない』という言葉があります。長い間、地域の食が私たち人類の健康を守って来ました。今、間違った食べ物、食習慣が私たちの未来を脅かしています。(中略)アシオグストは、小さな味覚から始まる生産者と消費者がひとつになる文化的事業です。」

また、インドネシア代表の女性は、このように話しました。
「世界のリーダーたちは、生産量に目を向けるあまり、生物多様性、水、そして大地を搾取してしまったが、私たちは身の回りの生き物と命を分かち合って生きています。」

そして最後に、何度も来日しているパオロ・ディクローチェ国際事務局長の力強いメッセージ。
「今、直ちに自覚しなければならない。地球温暖化や環境破壊を食い止め、生物多様性を守るために、より重要なことは実践すること。大きな理念を持って、小さなことから実践することだ。」

この後、合唱団による歌と、民族舞踊の披露があり、2時間の開会式は終了しました。特設会場で盛大な交流会を行い、バスで山奥にある宿舎に向かいました。
(つづく)