ノスタルジア(郷愁)の風
2014年 01月 08日
彼は海から15kmほど内陸に家を建て、日曜日になると、小学生の息子たちを連れて早朝の海に車を走らせた。
東京からほど近いこの海には、ものすごい数の海水浴客が訪れ、ビーチはゴミだらけだったけれど、子どもたちは磯でカニを捕まえたり、イソギンチャクを突っつくことに大喜びだった。
やがて子どもたちが大きくなると、彼は言った。
「これから、東京は人が暮らすところじゃないぞ。」
そして彼の息子が仕事を辞め、北国で暮らすと決めた時、彼は言った。
「雪をあまく見たらだめだぞ。雪っていうのはなぁ、横から降るんだからな。」
ふるさとは遠きにありて思ふもの…