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平庭高原・日本一の白樺林の輝きから、北上山地の森について考える。

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ここは、おとなり久慈市と葛巻町の境に広がる平庭高原。ここの白樺林は日本一と言われているのは、有名です。平庭高原には岩泉町から最も近いスキー場「平庭高原スキー場」がありますし、北上山地の短角牛(の祖先・南部牛)の歴史を伝える「闘牛場」があることもあり、四季折々に様々なイベントも開催されている魅力スポットですね。

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その白樺林はなぜ生まれたのか?かつてこの一帯は放牧地でしたが、その後、放牧がおこなわれなくなると、草地に侵入する樹木のパイオニアともいわれる白樺は真っ先に侵入してきます。こうして広がった白樺林が現在見ごろを迎えているということです。最近産経新聞さんの記事で知ったのですがこの白樺林は、調査でも日本一の本数(生育本数31万本、面積360ha)であることが分かっているそうです。

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一方で白樺はパイオニアであるがため、放牧地跡・山火事跡などの開けたよく日光の当たる場所を好みます。そして寿命が短いことも特徴です。数十年以上前には放牧地として全く違う景観が広がっていた平庭高原、この先50年後は、どのような森の景観が広がっているのかは、気になります。

この白樺林もこれまで下草刈りなどを通じて守られてきたとのことです。観光振興のために人との関わりのなかで今後も白樺林を維持する方策を考えるのか、あるいは人口減の時代ですから、自然の遷移でブナ・ミズナラなどの森に変わってゆくことにおまかせするのか、様々な考え方があると思いますが、たいへん興味深いところです。

北上山地は冬の積雪が日本海側と比べて少ないことも影響してか、かなり源流部まで人が住んでいますし、そうした地帯でも社会情勢に左右はされますが、山を活用した林業・牧畜などの産業が成り立っています。そのため北上山地の自然の風景は、一見山奥に見えても、人との関わりで生まれたものがとても多いです。

岩泉町も、100年前には放牧地の管理のために山焼きが行われ、いまよりはるかに広い面積で放牧・採草のための草原が広がっていたとされます。(「森の生態史」北上山地の景観とその成り立ち という本が詳しいです。)現代のように、カラマツの植林地が広がる景観も北国の爽やかな風景を演出していますが、これも、戦後のもの。
人の営みと森とのつながりがとても深い北上山地の自然の風景は、人の暮らしの変化とともに、常に変わり続けています。

いま、この「日本一の白樺林」の輝きを目の当たりにすることができるのは、ラッキーなのかもしれません!

by kyounoinaka | 2016-07-04 08:50 | ●地域情報 地域の話題&岩泉・近隣の風景