ジウラー必見!【図解】「南部の地ウリ」の種採り法
2013年 09月 03日

とても美味しい地ウリですが、種採り用の地ウリは、茶色く熟すまでぶら下げておきます。

果皮が茶色くひび割れてきたら収穫し、さらに数日間寝かせておきます。(追熟)そしてこれを包丁で割ります。

地ウリの発酵した匂いが強烈に広がるので、注意が必要です。

果皮からは想像できないほど、中は瑞々しく潤っています。

スプーンでワタごと種を取り出し、ビニール袋に入れます。

口を縛って1~2日置くと、軽く発酵します。こうすることによって、種のまわりに着いた“ぬめり”が取れやすくなります。

ボウルにあけて水を入れ、よくもんでぬめりを取ります。
充実した種は沈むので、表面に浮き上がった種は捨てます。

これを繰り返すと、すっかりきれいな種が採れます。

天日で乾燥し、容器に入れて冷蔵庫で保管すれば、地ウリの自家採種が完了です。
自家採種をすると、春になれば畑に植えたくなるし、それを育てて収穫した時の喜びは大きい。「これは世界一美味しい地ウリだ!」と思えるのだから不思議です。
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【提案】
安家地大根や地ウリの種採りは、手間がかかるものの特別難しい技術は必要ありません。また、肥えた畑も立派なビニールハウスも必要ありません。
そこで、学校農園で伝統野菜の「種の伝承」に取り組んでいただけないでしょうか?
子どもたちが採った伝統の種を、地域のじぃちゃん・ばぁちゃんが畑で栽培する。収穫した野菜を、岩泉のホテルや民宿で調理して観光客に提供する。
観光客は、岩泉でしか食べられない郷土の味を知る。さらに「お皿の外側」にある物語はテレビや新聞の絶好のネタとなり、あるいは日本を代表するシェフが取り上げて下さり、全国に発信できるかも。(現に地ウリは、昨年はフランス大使館のパーティーに、今年はJALファーストクラスの機内食に採用されているのですから。)
子どもたちにとって、伝統野菜が「郷土の誇り」になることは間違いない。
もし学校での取り組みに経費がかかるのであれば、「龍泉洞の水」の売上の一部を積み立てた「森と水のシンフォニー環境基金」を活用することができるでしょう?
岩泉町教育委員会の皆様、小中学校の先生方、ぜひ来年度の取り組みとしてご検討ください。
JAL国内線ファーストクラス機内食に岩泉町食材が登場します。
2013年 08月 20日
JAL国内線ファーストクラスのおもてなし
日本各地の名店プロデュース機内食 第28弾(9月) 岩手県「ロレオール」
~やさしい秋の味に、日本の原風景を見る~
「本州一の広大さを誇る岩手県は食材の宝庫。山・里・海の恵みをシンプルに、素材の持ち味が活かされる調理法を心がけました。岩手の秋の香りと味を存分にお楽しみください。」
(「ロレオール」伊藤勝康シェフ)
9月上旬は県北、中旬は県央、下旬は県南の食材が中心のメニューです。上旬に「いわいずみ短角牛」「南部地ウリ」「安家地大根」が、さらに下旬には「岩泉の葉わさび」が登場します。
ということで、昨日「南部地ウリ」の生育を確かめに、「日本の原風景」を訪ねてきました。

岩泉町は北上山地の山の中にありますが、実は関東平野などごく一部の地域を除いて、日本は世界有数の山国です。

食材なら何でも揃うキッチンガーデン。じぃちゃんとばぁちゃんの家の周りには、田んぼがあり、畑があり、山菜やきのこをもたらす森と、イワナやヤマメが棲む清流があります。

ばぁちゃんは伝統作物の自家採種を繰り返し、この土地に適した「地ウリ」を育てています。地ウリのトンネルは、なんだか涼しい。
この畑と、飛行機のファーストクラスがつながります。ばぁちゃんの畑仕事も、この山の風景も、きっと「一流」だからでしょう。岩泉町の小さな食材、小さな生産者に光をあてて下さった伊藤シェフに感謝感激です。
ついでにお知らせ。
全国の書店で販売している人気雑誌『旅の手帖』(交通新聞社 580円)2013年9月号に、当社の「龍泉洞珈琲」が登場しています。小さな記事ですが、「美しい、懐かしい、驚きの!にっぽんの184村」という魅力的な特集記事がありますので、村好きな方はぜひお買い求めください。

岩泉の「むかしきゅうり」、世界のデュカスシェフに会う!
2012年 07月 17日
今日はさらに驚くお知らせ。
7月11日「フランスレストランウィーク」プレス発表会・レセプションに参加した「ロレオール」伊藤シェフからのとっても大きなプレゼントです。
▼左が「ロレオール」(奥州市)伊藤勝康シェフです。

伊藤シェフから、「デュカス氏と地うりの写真を送ります。」とコメントがあり、その時は「デュカス氏?なんだか聞いたことのあるような…」と聞き流してしまいましたが、
「アラン・デュカス(Alain Ducasse, 1956年9月13日 - )は史上最年少で3つ星を獲得したモナコ国籍のシェフ。 パリのオテル・プラザ・アテネのレストラン「アラン・デュカス」や、モナコのレストラン「ルイ・キャーンズ(Louis XV)」の他、世界各地でレストランを経営する。ミシュランから異なる国で3つ星をつけられた、史上初のシェフである。」(ウィキペディア参照)
なんと世界的に有名なアラン・デュカスシェフだったのです!
▼伊藤シェフが以前送って下さった「むかしきゅうり」の料理写真。上に載っているのは切り干しの安家地大根。

(以上写真2点、伊藤シェフより)
地域デザイナー梅原真さんの言葉を思い出しました。
「宝は、すぐ足元にある」

そして私の言葉。
「地うりは、わくわく市場にある」 (1本100円~120円。安い。)
「南部のむかしきゅうり」晴れ舞台へ
2012年 07月 07日
2012年6月21日ブログ 祝!「南部のむかしきゅうり(地ウリ)」収穫
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さて、本日「地ウリ」改め「南部のむかしきゅうり」が晴れ舞台に向け出発します。
行先は岩手県でただ一人(全国で15人)「料理マスターズ」の称号を持つ伊藤勝康シェフのいる奥州市のフランス料理店「ロレオール」です。

伊藤シェフは岩手の食材をとても大切に扱ってくださる方で、調理には南部鉄器を使っています。「南部のむかしきゅうり」でどんな料理を作って下さるのか気になりますが、嬉しいことに7月9日(月)テレビに生出演するそうです。
7月9日(月) テレビ岩手「5きげんてれび『5きげんクッキング』」

さらに、来週は「フランスレストランウィーク」記者発表のパーティー用に、フランス大使館へ向けて出発する予定です。
岩泉町内でも忘れ去られようとしていた伝統野菜が、世界の舞台に登場するなんて…(涙)
ついでに「レストラン大地工房」野中シェフに、イタリアン風に調理してもらいました。水分が多い「南部のむかしきゅうり」は、三陸の海産物との相性もなかなかいいようです。

みんなで「南部のむかしきゅうり」を食べて、貴重な伝統野菜を守りましょう。
家庭でフレンチやイタリアンは無理でも、冷やして「地味噌」で食べれば最高ですよ。
祝!「南部のむかしきゅうり(地ウリ)」収穫
2012年 06月 25日

4月中旬にポットに種を播き、5月上旬に20cmほどの苗を定植。露地栽培のものはまだ小指ほどの大きさですが、「わくわく市場」組合員さんに託した地ウリはビニールハウスですくすくと育ち、本日初収穫となりました。

「地ウリ」は農薬も化学肥料もない時代から受け継がれてきた伝統野菜ですが、マルチシートを敷くことで、雑草の生育を防いでいます。

昨年の秋、行きつけのじぃちゃんに2本の熟した「地ウリ」を分けてもらい、工場脇の洗い場で種を採ったことが懐かしく思い出されます。その後の「種まき→育苗→定植→栽培」はすべて「わくわく市場」組合員さんにお任せしましたが、「生みの親(?)」として感慨深いものがあります。
種を伝える~地ウリ(其の一)
種を伝える~地ウリ(其の二)

何とも愛おしい蔓が伸びています。思わず握手してしまいました。
「地ウリ」の話をすると、多くの方が、「あれは美味しかった。」「味噌をつけるとうんめぇ。」「塩漬けにしてシソとニンニクを入れるといい。」「水筒代わりに山へ持って行った。」と話が盛り上がります。
ではなぜ失われつつあるかというと、種採りの手間がかかることと、形・大きさが不揃いで、流通に不向きだからなのでしょう。でももう「大量生産・大量消費」の時代は終わり。
ここ(岩泉)にしかないいいもの、本当に美味しいものを大切に受け継いで行く時代となりました。

嬉しいことに、今日のこの地ウリはフランス料理のシェフに即日出荷となります。
「田舎の地ウリがフランス料理?」と疑問を持つかも知れませんが、フランス料理も、ばぁちゃんの料理も、決して別世界の食べ物ではないのですよ、きっと。
種を伝える~地ウリ(其の二)
2011年 09月 24日
5.2日間放置したビニール袋を開けると、鼻をつく発酵臭が広がります。

6.バケツにあけて水を注ぎ、手で大きなワタをすくい取ります。そしてザルにあけると、まだまだヌメリがいっぱいです。

7.またバケツに入れて水洗いし、これを何度か繰り返します。水に浮く種は発芽しないので、流してしまいます。やがてヌメリがとれてきれいな種が残ります。

8.あとは天日にあて、乾いたらビニール袋かビンに入れ、フタを閉めて冷暗所で保管します。
春、霜の心配がなくなったら種まきとなります。
夏の暑い日、味噌をつけて食べる「地ウリ」は絶賛すべき故郷の味です。
(味噌は麹を使わない「南部の玉味噌」がお薦め。)

種採りはなかなか手間のかかる作業ですが、おじぃさん・おばぁさんたちがこうやって地域の味を伝えてきてくれたことを、忘れてはならないし、ほんの少しでも、受け継いでいけたらいいなと思うのです。
岩泉の種の伝承に取り組み、「自家採種」の素晴らしさを教えてくれた酪農青年に感謝を込めて、本日のレポートを終了します。
種を伝える~地ウリ(其の一)
2011年 09月 23日
1.これが地ウリです。普通のキュウリの3倍ほどの太さで、「ぼてっ」としていますがとてもみずみずしく、昔は水筒代わりに山仕事に持ち歩いたそうです。収穫期を終え、茶色く枯れてから種採りをしますが、ツルからもいでから、数日間放置すると種が熟すそうです。

2.いよいよ包丁で「えいやっ!」と二つに切ります。枯れ果てていると思ったのに、包丁をあてると水分が飛び出し、部屋中に甘酸っぱい匂いが立ちこめます。(夕方の事務所で切ったので、大ひんしゅくです。)

3.次にスプーンで中の種の部分をすくいます。ワタごとくりぬいてしまえば良いのです。

4.これが種です。メロンのワタと同じです。(メロンもキュウリと同じウリ科ですから。)
これをビニール袋に入れて数日発酵させると、種とワタの分離がしやすくなるそうです。

くりぬいた果実の部分ですが、何だか美味しそうなので、カットしてお皿に並べて見ました。
さてそのお味は…

「まずいーっ!もう一本!!」
【続きは数日後のお楽しみ】